補綴治療とは
虫歯・歯周病・事故などで歯が欠けた・抜けた場合に、詰め物、被せ物、インプラント、入れ歯、ブリッジなどの人工物でその審美性と機能を回復させること全般を指し、「補綴治療」と言います。
補綴治療を怠ると、見た目の問題を始め、さまざまな弊害が生じます。歯を削らないこと、失わないことが何よりも大切ですが、治療が必要な場合には、速やかに歯科医と相談の上、適切な補綴治療を選択しましょう。
歯を失ったまま放置すると
歯が欠けた、抜けたままにしていると、お口の中だけでなく、全身の健康に支障をきたします。
お口に生じる弊害 | 全身に生じる弊害 |
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本来ないはずのスペースが生じたことで、歯が動いたり傾いたりし、歯並びや咬み合わせが乱れる | 歯並び、噛み合わせが乱れることで、顎や身体の左右のバランスが崩れる。 |
汚れが溜まりやすくなり、ブラッシングが難しくなるため虫歯や歯周病のリスクが高まる | 顎、身体の左右バランスが崩れることで、肩こりや頭痛などの不定愁訴のリスクが高まる |
噛んだときの力が顎の骨に正しく伝わらず、骨の吸収が進む(顎の骨は適度な刺激により維持されます) |
保険診療と自費診療の違い
保険診療は、健康保険の適用が認められた診療です。患者様の自己負担が抑えられますが、診療では使用される材料、工程などが厳しく定められています。多くの人に等しく効果をもたらす必要があるため、診療の自由度は低くなります。 一方で自費診療には、健康保険の適用が認められません。費用は基本的に全額自己負担となりますが、材料や工程に制限がないため、自由度の高い診療が可能になります。「こんな材料が使いたい」「もっと自分に合った治療を受けたい」といったご希望に十分に応えることができます。
いずれも一長一短ではありますが、審美性・機能性を追求するには、保険診療では限界があります。自費診療は比較的高額ではありますが、質の高い治療が期待できるため、最終的なご判断の前に、一度は検討してみることをおすすめします。
補綴治療の種類
インレー
インレーとは、いわゆる「詰め物」のことです。
虫歯治療で歯を削った後に、その形を修復するために作製し、取り付けます。
材料には、保険診療ではレジン(歯科用プラスチック)や金属、自費診療であればセラミック、ハイブリッドセラミック、ジルコニア、ゴールドなどが使用されます。
クラウン
クラウンとは、いわゆる「被せ物」のことです。「差し歯」という言い方がされることもあります。
虫歯治療で歯を大きく削った後、その形を修復するために作製し、取り付けます。重度の虫歯の場合には、クラウンの前に神経を取り除く処置が必要になることもあります。
材料には、インレーと同じように保険診療・自費診療でそれぞれ異なるものが使用されます。
虫歯治療の他、歯の形や色を整えるためにクラウンを取り付けることもあります。但しその場合には、健康な歯を削る必要が生じます。
ブリッジ
歯を失った場合に使用する、固定式の補綴物です。両隣の歯を削り、連結した人工歯を渡すことで、失った歯の審美性と機能性を取り戻します。
一般的に、保険診療の入れ歯よりは強く噛めると言われています。ただし、健康な歯を削る必要があります。また、ブリッジと歯ぐきの境目に汚れが溜まりやすいので、セルフケアの際にはその点に特に注意しなければなりません。
入れ歯
インプラント
歯を失った場合に使用する、固定式の補綴物です。顎の骨にインプラント体を埋め込み、そこに被せ物を取り付けることで、審美性・機能性を高いレベルで回復させることができます。 天然歯と見分けがつかないほどの美しさと、天然歯と同等の咀嚼力が期待でき、いずれの点でも入れ歯やブリッジを大きく上回ります。
ただし、重い全身疾患を抱えている方は、適応外になることもあります。また、歯周病などを原因として顎の骨の量が不足している場合には、インプラントの埋入の前か埋入と同時に、骨造成のための処置が必要になります。
治療した歯を長持ちさせるためには
いずれの補綴治療を選択した場合にも、治療した天然歯、その他の天然歯、補綴物を長く使用するためには、メインテナンスが欠かせません。
虫歯や歯周病がない人でさえ、その状態を長く維持するためには定期検診が必須と言われていますので、補綴物を使用した人は、専門家によるチェックとクリーニングの必要性がより高くなるのは当然のことです。
“定期的なメインテナンス”ときくと面倒に感じられるかもしれませんが、3カ月に1度程度、30分から1時間程度の時間を確保することでお口の健康が長持ちすることを考えれば、むしろトータルでは受診にかかる手間・時間・治療費を抑えられる可能性が高くなります。
また、メインテナンスでご来院になった際には、セルフケアがしっかりできているかどうかもチェックし、アドバイスをいたします。ご自宅でのセルフケアの質を向上させることで、さらなる口腔環境の改善が期待できます。
地道なようではありますが、この繰り返しこそが、お口の健康を長く安定させるための最短ルートです。
補綴治療を受けられた後は、必ず、メインテナンスに通うようにしましょう。健康が長持ちすれば、お口回りの美しさも、自然と長持ちします。
料金について
※税込み価格で表示しています。
インレー(部分的な詰め物)
ゴールド・セラミック(e-max) | 約¥38,500~約¥55,000 |
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クラウン(かぶせ物)
ゴールド・オールセラミック(e-max) | 約¥71,500~約¥132,000 |
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